2016.04.09更新

平成28年2月25日

皆様お早うございます。
本日は御卒業誠におめでとうございます。衷心より御祝い申し上げます。
又、今日まで長い間、教職員の皆様、御父兄の皆様並びに関係各位の皆様本当に御苦労様でございました。高い席からではございますが心より御慶び申し上げます。
私は平成23年度より兵庫工業倶楽部理事長の 高校18回化学科を卒業した冨金原伸伍でございます。
我が「県工」は明治35年11月、兵庫県立工業高校として建築、機械の2学科、生徒数65名をもって開校いたしました。その後明治42年電気科、大正6年応用化学科、大正10年土木科、戦後は学制改革により現在の兵庫県立兵庫工業高等学校となりました。
また時代の変遷に対応するべく、昭和33年デザイン科、34年電子科、62年には情報技術科を新設し現在では8学科、960名を有する全国でも有数の工業高校として発展して参りました。
又、兵庫工業倶楽部は母校の発展と共に卒業者総数は33,813名からなる大同窓会であります。
組織的には8つの各科別同窓会、10の地方支部、多数の勤務先兵工会が存在しております。このように114年の輝ける伝統と歴史に支えられた兵庫工業倶楽部同窓会に、本日御卒業の303名の方々が御入会頂ける事を心より嬉しく、心強く思います。
今日の此の佳き日に、皆さんは県工を巣立って行かれます。三年の長いようで短く想う学生生活であったと思います。
陰になり日向になり貴方方を今日迄教え導いてこられた恩師の諸先生方を始め、思い出深き校舎よ、校庭よ、さようならと告げて去って行く君達の雄々しき姿に、清楚で優しくも強き大和撫子に、いずれ日本の未来を支える父となり母となる日を重ね思い描くだけでも心から嬉しく頼もしく又力強くあり、先輩として祝着に存じます。今日、御卒業される皆さん方はこれからは諸兄姉、父母、祖父母弥諸先輩がしてきたように、今まで以上に刻苦勉励し骨身を惜しまず努力しなければなりません。
それは諸先輩達が日本の平和と安全、繁栄と豊かさを希求して今日の世界に冠たる日本を築き上げて来られた事に対してであります。
又この恩恵に浴して来た事に喜びと感謝をし、この伝統を誇りとして今日より明日、明日より未来へと繋ぎ永遠の発展を求めて進化してゆかねばなりません。
明治維新の頃、150年程前の日本が輸出出来るものは生糸ぐらいしかありませんでした。ところが今日の日本は如何でしょうか。
国民の所得はこの100年間で28倍にも達し、アメリカの防衛産業、特に航空機に至っては30%以上の精密機器は、made in Japanからなっており今や日本の製品なくしては空を飛べない状態になっております。自動車を製造するには20,000~30,000個の部品が必要とされて、自動車産業に係わる人々の数は全労働者数6,000万人余の中の9%に当るといわれております。H-IIAロケットで100万点、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」で約200万点、人工衛星で数十万点に及び、全ての機器、部品は高い機能と同時に過酷な宇宙空間に耐えられる高い信頼性が求められておりますが、是等の殆ど全てと云っていい位の部品は純国産から成っております。是丈を見てもわかるように今や日本は地球上で生活する為に必要なあらゆるものを生産出来る人材とノウハウを蓄積しております。
日本は常に資源少国と云われ続けてきましたが然し、資源が幾ら豊富にあっても其れを利用できる技術力とそれを扱う有能なる人材が不可欠であります。先の大戦に於いては欧米は鉄鋼、石油等を日本へ禁輸する措置を取ろうとしてABCD包囲網を敷き日本への経済封鎖を行ないました。
昭和10年頃の事であります。日本はアメリカ、イギリス、中国、オランダによって兵糧攻めに遭いこの死活問題を突破する為に外交で破れた日本は戦争という手段を選んでしまいました。
然し敗戦を経て70余年たった今日の日本は世界から羨望の眼差しで見つめられる程の高度な経済成長を果たし成熟した民主主義国家を築き上げております。
日本人の勤勉さと実直さ、そして道義的精神性等が相俟ってこれ等の相乗効果の結果としての果実であり、

この美風は日本人として世界に誇るべきものであると私は堅く信じております。
この優秀な人的資質があったればこそであります。
この資質は幾世代にも亘って自然の中に育まれ涵養されてきたものです。
この成果が世代を超えてDNAの中に組み込まれております。
この素晴らしい天賦の素質の上にこれからの未来を築き上げてゆく貴方方はゼロからのスタートではない分非常に恵まれております。
況してや3年間という貴重な一時を県工で学び、人としてどうあるべきかの基本を多々学び、これから実社会へ出て大いに役立つであろう工業の基本も沢山学ばれました。
この盤石の基礎があればどんなに大きな構造物を創造しても微動だにしないでしょう。
創造性を豊かに、発想を無限大に展開させて欲しいと思います。
総ての事物は国というバックボーンがあっての事であり、私の体験上から一度外国へ出て少し苦労するとこの意味が身に沁みてよく分かると思います。
皆さん方も県工で学ばれた事を最大限に生かし自らの人生を声を高らかに謳歌して一身独立を計って欲しいと思います。
百数十年前に個人及び国家の独立自尊、社会の実利実益の尊重を福澤諭吉が説いておられます。
県工健児の皆さん!! 一時でも早く一身独立して世界も羨むような理想国家日本の国作りに励んで頂けるよう切にお願いしてご挨拶とさせて頂きます。
本日は御卒業誠におめでとうございます。

 

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